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斎藤佑樹が引退を止めた2017年。
「支えてくれる皆さんがいるから」
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKyodo News
posted2019/02/15 11:30
斎藤佑樹はキャンプの練習試合初戦となる韓国NC戦に登板。2回を無安打で抑えるなど、順調な調整を見せている。
自主トレのために集った仲間。
確かに、トレーニングを行なっているのは斎藤佑樹、ただ1人。しかし、彼の周りには驚くほど多くの人がいました。
斎藤が数年前から通うトレーニングジム、トータル・ワークアウトのトレーナーらが数名、さらに大学の後輩、友人、東京六大学野球で戦った仲間たち、さらに彼の同世代のメディアで働く人間……10人ほどが集まり、斎藤のトレーニングを手伝っていました。
中には会社の休みを使ってブルペンで彼のボールを受け、打席に立ち、投球フォームを撮影している方もいました。人知れず苦しむ斎藤佑樹をそばで見てきて「もう一度、輝いてもらいたい」という思いから、自主的にグアムに足を運んでいたのです。
彼らの愚直なまでにひた向きな姿を見て、気が付けば僕も練習を手伝っていました。
7割の力で130km中盤をマーク。
グアムの地で何度も入ったブルペンでの投球練習、走り込みとジムで徹底的に鍛えた下半身の強化と、「レッドコードトレーニング」と呼ばれる、身体のバランスを整えて神経伝達を飛躍的に高めるメニューを組み合わせ、不安定だった体の状態はここ数年で最も良い状態に引き上げられました。
7割の力で130km台中盤をマークした1月のブルペン投球が、調子の良さを物語っていました。
2年前に覚悟した「引退」。ただ、それを選ばなかった選択が、正しかったと証明する時が今年こそ来るかもしれない。
彼が今年、2年ぶりの勝利を挙げ、お立ち台に上がった時に、支えてくれる皆さんにどんな言葉を伝えるのか。その時を楽しみに待ちたいと思います。