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オジュウチョウサンの障害復帰は、
「どちらにしてもすごい挑戦」。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/30 07:00
オジュウチョウサンという馬のキャリアは唯一無二のものである。最後まで見届けたい。
平地にオジュウチョウサンは戸惑っていた?
有馬記念のあとは、さすがに激走の疲れが出たと和田調教師は言う。
「どこがどうというわけではないのですが、馬体や内臓、精神的にも、いつもと違うところが感じられ、回復には時間が必要だと判断しました。今はもう元気になって、次に向けて外厩で乗り込んでいます」
'18年のシーズンの半分は平地のレースに向けての調整となったわけだが、調教では、従前どおり障害も飛ばすようになっていた。レースでは武豊が騎乗したが、調教ではずっと石神が乗りつづけている。
「平地のレースに出て、ちょっと馬が戸惑っているように感じたこともありましたが、特に変わったところはありません」と石神。
ジャンパーとしてのオジュウチョウサンの日常は、平地再挑戦の背後で、しっかり維持されていたのである。
8歳という馬齢を陣営はどう考えているか。
しかし、どうしても気になってしまうのが8歳という馬齢である。それについて、和田師はどう感じているのだろうか。
「実は、去年の夏、精神的に丸くなったのかなと思ったことがあったんです。ところが、秋になると、元の元気がすっかり戻っていました(笑)。年齢的なものによる影響はつねに警戒していますが、衰えを感じたことはありません。
逆に、若くても走る気をなくしてしまう馬もいますからね。身のこなしが障害馬っぽくなくなったようにも感じましたが、基本的には変わっていません」
石神も同じように感じている。
「去年の年末の調教で、ぼくが落とされるぐらい元気でした。まったく年齢を感じさせません。それほど多くレースを使っていないし、精神的にも肉体的にも若いですよ」
父のステイゴールドも、7歳だった'01年にドバイシーマクラシック(GII)、さらに暮れの香港ヴァーズを勝ってGI初制覇を遂げるなど、キャリアの晩年が一番強かった。
3月9日の阪神スプリングジャンプから4月13日の中山グランドジャンプというローテーションが決まった。そのうえで長山オーナーは、1月28日のJRA賞授賞式で「ぜひともGIを勝たせて種牡馬にしたい」と話した。オーナーの言う「GI」とは、平地GIのこと。前記2つの障害レースのほか、4月28日の天皇賞・春、ファン投票で出走できる6月23日の宝塚記念も視野に入れているようだ。