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偉大な王者シューマッハーの長男が
20歳にして叩いたフェラーリの門。
posted2019/01/27 10:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AFLO
1月3日から、フェラーリがイタリア・マラネロにある記念館で、"Michael50"と銘打った特別エキシビションを開催している。史上最多、7度のチャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハーの50歳になる誕生日を祝して催されたものだ。
'12年限りで現役を引退したシューマッハーが不幸なアクシデントに見舞われたのは、'13年末のことだった。フランス・グルノーブルのメリベル・リゾートでスキーを楽しんでいる最中に転倒。頭部に重傷を負い、一時は生命の危機に直面するも、2度に渡る手術を経て、最悪の状況は脱した。
その後、退院して自宅に帰り、現在もリハビリを続けていると言われている。シューマッハーは現役を引退したが、いまもなお戦い続けているのだ。
フェラーリが特別エキシビションを催したのも、かつてエースドライバーとしてともに数々の栄光を獲得した盟友を激励するためだった。“Michael50”の開催にあたって、フェラーリはこんなメッセージを贈った。
「フェラーリの歴史の中で、7度王者に輝いたミハエルは特別な存在だ。エキシビションでは、偉大なチャンピオンがフェラーリに与えてくれた忘れられない思い出を振り返りたい」
若手育成プログラムに加入。
そのフェラーリの門を今年、もうひとりのシューマッハーが叩いた。ミハエルの長男のミック・シューマッハーだ。フェラーリの若手ドライバー育成プログラムである「フェラーリ・ドライバー・アカデミー」(FDA)に加入する決断を下したのだ。
9歳でレース活動をスタートさせたミックの活躍は、当初ほとんど知られなかった。それは、偉大な父親を持つ二世ドライバーとして過剰に報道されることを両親が恐れたからだ。
注目を避けるため、デビュー当時、ミックは母コリーナの旧姓を使用してミック・ベッシュという名前でレースに参戦していたほどだ。