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大坂なおみの体型が明白に変わった。
女子テニスに渦巻くフィジカル革命。
posted2019/01/22 15:10
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
AFLO
何度も窮地をしのぎ、大坂なおみが全豪オープン初のベスト8に駒を進めた。
4回戦の相手、世界ランク12位のアナスタシア・セバストワは、安定感抜群で、フォアの強打とバックのスライス、ドロップショットなど多彩なショットをバランス良く繰り出す28歳。しかし大坂が、テクニックで張り合い、スピードで食らいつき、パワーでまさった。
スライスショットの応酬やドロップショットの騙し合い――こうした駆け引きに積極的に挑むのが、今シーズンの新しい大坂だ。軽快な動きと繊細なテクニックを支えるのは、シーズンオフに専念したフィジカル・コンディショニングの成果らしい。
3カ月前とはシルエットが違う。
オフの間の努力は、まずその体型に顕著に表れている。
今大会序盤、「今、体重はどのくらいありますか?」と尋ねたベテランの男性記者に、「しばらく測っていないからわからないけど、そんなふうに人に体重を尋ねるものじゃないわ(笑)」と冗談めかして返したが、ジムワークとランニングに多くの時間を費やしたというオフを経た今、わずか3カ月前のWTAファイナルズの頃から比べても、遠目に見るシルエットも間近で見る輪郭も明らかに違う。
2017年シーズン後のオフにも、当時新しくコーチについたサーシャ・バイン氏とともに早速肉体改造に取り組み、約2カ月で7kgも減量に成功している。その後、'18年3月にチームに招いたコンディショニング・コーチのアブドゥル・シラー氏は大坂の体質や体力を徹底的に分析し、スピードやスタミナなどまだポテンシャルが発揮されていない領域の大きさに着目した。
ちなみにシラー氏は、バイン・コーチとともにセリーナ・ウィリアムズを3年間サポートしてきた実績も持つ。コート内でのドリル、コート外でのトレーニング、日常生活での食事制限など明確な課題を与え、彼が作成するプログラムによって、シーズン中も体は見る見る絞られていった。