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大坂なおみの体型が明白に変わった。
女子テニスに渦巻くフィジカル革命。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2019/01/22 15:10
4回戦も窮地を凌いで勝利した大坂なおみ。メンタルの成長とともに、コンディションの良さも見逃せない。
チームを形成するのが主流。
女子テニスの人気やレベルは男女同額賞金に見合わないという批判は今でも確かに多少あるが、この賞金の高騰こそが女子テニスの質を変えたといってもいい。
今の選手は、コーチのみならずトレーナーやフィジオをツアーに帯同して〈チーム〉を形成するのが主流になっている。それができるようになったのは、長年の“差別撤廃運動”の末に、女子もグランドスラムをはじめとした大きな大会で男子と同額の賞金を手にする時代になったからだろう。
食事制限にせよトレーニングにせよ、個人の意志だけで貫くのは難しい。誰かがメニューを考え、見張り、叱咤激励してくれなければ、成し遂げることは困難だ。
大坂には、豊富な知識と経験で食事やトレーニングのメニューを作成するトレーナーがいて、その苦しいメニューを一緒にこなしてくれるコーチまで傍らにいる。そしてこのチームのプロジェクト最大の武器は、大坂自身の純粋な向上心と仲間を信じる力だろう。
充実したオフシーズンの成果を実感しながら勝ち進んだ準々決勝。「ボールに速く追いつくことができるようになったし、長いラリーでも疲れなくなった。アブドゥルは私に、長い試合を戦える自信をつけてくれた」と手応えを語った。
スビトリーナには2勝3敗と負け越していて、2連敗中でもある。自分の体とテニスに向き合い、信念と勇気を持って改革に取り組んだ2人の対決は、優勝の行方のカギを握る一戦である。