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稀勢の里の引退で思い出した、
1人で福岡に通っていた懸命な姿。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKyodo News
posted2019/01/16 13:40
進退をかけて臨んだ初場所も初日から3連敗で1月16日、引退を表明した。
ギリギリの身体とプライド。
若い頃からとにかく休まなかった。怪我を抱えようが、腸ねん転になろうが、土俵に立ってきた稀勢の里関。休まないということがポリシーだった男が、横綱に辿り着いた時には、身体はギリギリの状態でした。横綱として生きるための、治療の日々。その姿を周囲に見せたくないというプライドがあったと、あの空港での言葉を今、思い出しています。
横綱としての運命を生きた稀勢の里関。この経験を、これから生まれるであろう横綱に伝え、いつか横綱を生む存在になってほしい。それだけ豊かな人間力を持ち、周囲には言えない、言わない苦しき経験をしてきたと思います。
とにかく今は傷だらけの心身を癒し、次なるステージへ準備を整えてもらいたい、そう強く願います。