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これは単なるボウリング賛歌ではない!
桑田佳祐の『レッツゴーボウリング』現象。
text by
瀬尾泰信(Number出版部)Yasunobu Seo
photograph byVictor Entertainment
posted2019/01/16 15:00
元旦に発売された『レッツゴーボウリング』通常盤(ピンズ付き/クリーム色)のパッケージと桑田佳祐。
桑田佳祐の、「モノ」へのこだわり。
「今回の桑田さんのシングルは、全国のボウリング場でも販売していますが、“ボウリング場限定パッケージ”があるんです。その限定盤を求めて、ボウリング場に久しぶりに足を運んでくださった方も数多くいらっしゃいます」(前出・ボウリング場関係者)
2016年6月、ソロ名義で発表したシングル『ヨシ子さん』の歌詞に「“サブスクリプション”まるで分かんねぇ “ナガオカ針”しか記憶にねぇよ」という一節があった(念の為説明しておくと、「サブスクリプション」とは、いわゆる「定額制配信」のことで、ナガオカ針は、世界トップシェアを誇る日本のレコード針である)。
実際このシングルはアナログレコード盤も発売されたのだが、桑田は音楽市場が「配信の時代」へと大きくシフトを切ったことを自身の音楽世界に敏感に取り込みつつも(実際この『ヨシ子さん』も『レッツゴーボウリング』もデジタル配信されている)、レコードやCDといった「モノ」としての価値も大事にしたい、皆さんにも再発見してほしい、という強いメッセージを自身の音楽活動に込めてきていると思われる。
そんな思いが、『レッツゴーボウリング』のパッケージにも強く反映されているとみてよいだろう。
リアルなコミュニケーションを大事に。
もっといえば、この桑田の「モノ」へのこだわりは、実態を伴った “人と人とのリアルなコミュニケーション”が生まれる場であるボウリング場へのこだわり、仲間とともに楽しむものとしての「スポーツへのこだわり」へとつながっている。
そのこだわりが、「KUWATA CUP」の開催へと結実したのではないだろうか。