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“フットサル最強校”から選手権8強。
雪国・帝京長岡の強化策が面白い。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2019/01/13 11:00
テクニカルかつ連動性あふれるサッカーを展開した帝京長岡。FW晴山岬はそのフィニッシャーとしてプレーした。
全日本フットサルで優勝。
高校サッカーでは選手権が冬の祭典とすれば、インターハイが夏の一大目標となる。帝京長岡は6月の県大会決勝でPK戦の末に敗れて、出場権を獲得できなかった。この失意からいかに立て直すか……というのが良くあるパターンだが、帝京長岡は少し違う道を選んだ。
それはインターハイと同じ8月開催の「全日本U-18フットサル選手権」に、フルメンバーで出場したこと。ここで帝京長岡はグループリーグ3試合で20ゴール、決勝トーナメントでもゴールを量産し、決勝戦も5-1で制し、2年ぶり2回目の優勝を果たした。
圧勝続きで日本一となった同校だが、大会に備えてのフットサルの本格的な練習は大会の数日前だけだったというのだから、その実力は本物である。
全国優勝という経験が自信に。
2年生FW晴山岬は、全日本フットサル選手権でMVPを獲得し、今回の高校サッカー選手権でも4ゴールを挙げている。そんな彼がフットサルで得たものをこう語っていた。
「インターハイに出られない一方で、全日本フットサルに出て日本一を取ったっていうのはすごく自信になりました。ジュニアユース時代からフットサルをやってきた選手は多いし、そのフットサルの感覚というのは体に染みついています。
そういった技術的な自信はあった一方で、『全国優勝』という結果がみんなの自信につながったのかなと。もしインターハイに出ていたら、たぶん全日本フットサルはフルメンバーで行けなかった。そこで頭を切り替えて、優勝しきれた。それがチームの勢いになったし本当に良かったと思います」
もちろんインターハイへの切符を逃したのは忸怩たる思いだっただろう。それでも素早く切り替えてフットサルにモチベーションを見出し、本気で優勝を目指し、タイトルを勝ち取った。だからこそ“勝つ喜び”を知ることができたのだ。
もし壁にぶつかったとしても、チームが強くなるための方法論はいくらでもある。
フットサルとサッカー両方で全国に名を轟かせた帝京長岡の選手たちは、そんなことを教えてくれた気がする。