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福岡第一が高校バスケで攻撃無双。
長身+化け物みたいな猛スピード。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byYuki Suenaga
posted2019/01/12 09:00
チームを牽引した3年・キャプテンの松崎裕樹(中央後ろ)と2年・司令塔の河村勇輝(中央前)。
アジアで通用するチームを。
ウインターカップの優勝インタビューでは「(自身のパフォーマンスは)まだ物足りない」とクールにコメントし、来年はアジアで通用するチームを作りたいと意気込む。もはや国内レベルではとどまらない逸材が、福岡第一のバスケットを高みに運んだ。
2018年夏、福岡第一はインターハイで初戦負けを喫した。河村と松崎をU18日本代表で欠いたとはいえ、戦力的には初戦で負けてはいけないチーム。井手口監督は「1対1でなくシステムを優先し、チームプレーでごまかすようなバスケットになってしまった」と悔やみ、福岡に戻った後には高校バスケ界の名将の著書を読み返したという。
能代工業を名門に育て上げた加藤廣志氏、桜花学園高校で64回の全国優勝を達成した井上眞一氏、仙台高校を全国制覇に導き、2005年に移った明成高校でもすでに5度優勝している佐藤久夫氏。それぞれの勝利に対するこだわりに触発された。
加藤氏からは勝ちへのこだわり。井上氏からは相手チームを徹底的に分析すること。佐藤氏からは人間教育の大切さ。井手口監督のこだわりは、鍛え、貫くことだった。
用意したディフェンスは2つだけ。
「私が今年用意したディフェンスはオールコートのゾーンプレスとハーフコートマンツーマンの2つだけ。それ以上やったら間に合わないと思ったし、本当に強い形は作れないと思っていました。その上で『3ポイントだけは打たせない』とか、『右のドライブだけは頑張って止める』とかポイントを絞るということじゃないかと思うんですけれどね。
事実、天皇杯予選は2つのディフェンスと本来の走るバスケットだけで、名古屋(ダイヤモンドドルフィンズ)に前半10点ビハインドでついていきましたから」
今回福岡第一と対戦したチームのうち3チームが、30代後半の若い監督が指揮するチームだった。今季6度福岡第一と対戦し、11月の県予選決勝で8点差まで迫った福岡大学附属大濠高校の片峯聡太監督に至っては、昨年30歳になったばかりだ。