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菊池雄星、10年前の涙を越えて。
「やっと行けるという気持ち」 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

PROFILE

photograph byAFLO

posted2019/01/07 11:50

菊池雄星、10年前の涙を越えて。「やっと行けるという気持ち」<Number Web> photograph by AFLO

念願のメジャー挑戦を現実にし、菊池雄星は最高の笑顔でマリナーズへの入団会見に臨んだ。

消費せず、投資に徹する男。

 とかく自分を高めることに投資を惜しまない男で、それが彼のこの12年を支えてきたといっても過言ではない。

 佐々木はいう。

「今、私は指導する中で『投資と消費』の話をします。お金と時間の使い方はこの2つのどちらかであるということを話すのですが、雄星は高校時代からひたすら投資していました。両親からもらったお小遣いは(体を大きくするための)食べ物と本と勉強になるようなDVDに使っていました。つまり、将来への投資をしていたんです。

 それはプロに入ってからも変わらずいろんなことに投資して吸収しようとしていた。そして、必要なものは残す、不必要なものは削っていきました。その分遠回りしたかもしれませんが、彫刻のようにいらないところをどんどん削っていって、今の雄星ができてきたのではないかと思います」

 4日未明の入団会見にはいろんな過去がフラッシュバックした。

 それはおそらく、菊池本人だけではなく、佐々木らたくさんの人も同じ想いだったに違いない。

「高校1年生の時に佐々木監督から呼ばれて『メジャーリーグを目指そう』という話をしてもらって、その時からメジャーに行くことを目標にしてきました。やっと12年前の夢が叶って嬉しいです」

 入団会見では晴れやかな表情でそう語っていた。

 メジャーを志してから12年。菊池がついに夢の扉を開いた。

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