第95回箱根駅伝(2019)BACK NUMBER
東海大学が悲願の総合初優勝。
チームに生まれた箱根駅伝への「執念」。
posted2019/01/04 16:00
text by
別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu
photograph by
Yuki Suenaga
「優勝を狙ってはいましたが、絶対に勝てるという確信はありませんでした。優勝の実感はまだ湧かないですね」
大学史上初となる箱根駅伝総合優勝を成し遂げた後も、東海大学の両角速駅伝監督はまだ、勝利の余韻に浸る余裕はなさそうだった。その表情には喜びとともに、安堵の色が浮かんでいたように見えた。
それほどまでに、第95回箱根駅伝は激戦だったのかもしれない。
戦前の下馬評では、分厚い選手層を誇る青山学院大学が圧倒的優位にあり、それを経験豊富な東洋大学、3年生に有力選手が揃うスピード派の東海大学が追うと見られていた。
往路で主導権を握ったのは東洋大学だ。
原晋監督「箱根駅伝は本当に難しい」
東洋大学は、1区で西山和弥(2年)が2年連続の区間賞を獲得すると、4区では相澤晃(3年)が驚異的な区間新記録で後続に3分近い差をつけてみせた。5区を走った田中龍誠(2年)も粘って、芦ノ湖のフィニッシュにトップで飛び込んだ。優勝候補の筆頭と目されていた青山学院大学は、3区で主将の森田歩希(4年)が区間新記録をマークするなど気を吐いたものの、4区、5区が連続して区間二桁順位に沈むまさかの展開で、首位と5分30秒差の6位で往路を終えた。指揮官の原晋監督は、往路終了時にはこう苦笑していた。
「厳しいねぇ。5分半は簡単に返せるタイムじゃない。箱根駅伝は本当に難しい。何が起こるか分からない」
それでも復路の主役は、その青山学院大学だった。
6区の小野田勇次(4年)が区間新記録で山を下ると、7区の林奎介(4年)も区間賞。9区を走った吉田圭太(2年)は出雲駅伝、全日本大学駅伝に続き、区間賞を獲得するなど、区間1位と2位しかいない圧倒的な成績で、復路優勝を飾った。
だが、そんな2校を差し置いて最も早く大手町に帰ってきたのが、東海大学だった。
往路も復路も2位という抜群の安定感を誇り、大会記録を大きく上回るタイムで悲願の総合初優勝を達成した。