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スポーツ界の社会貢献活動を表彰!
今年の「HEROs AWARD」はこの人に。
text by
生島洋介Yosuke Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2018/12/26 15:00
「HEROs AWARD 2018」で登壇した受賞者の皆さん。左から、赤星憲広さん、有森裕子さん、飯沼誠司さん、浦和レッズの落合弘さん、北野華子さん。
タイの孤児院でレッズが活動!?
その長谷部氏がかつて所属していた浦和レッズは、2007年のACL初出場をきっかけにアジアの国々のこどもたちにサッカーを通じてスポーツの楽しさを届ける「ハートフルサッカーinアジア」を立ち上げた。特徴的なのは、訪問先を自ら探し出し、恵まれないこどもたちや地域をなくそうと動いている点。今回の受賞に至った「バーンロムサイ」は、HIV/エイズへの差別や偏見が課題となっていたタイの孤児院だ。
「日本でも、アジアでも、被災地でも、常に変わらぬプログラムで、こどもたちとの『こころの交流』を行ってきました。これからも、アジア諸国をはじめ、恵まれないエリアのこどもに『こころ』を育む活動を行っていきます」(浦和レッズハートフルクラブ)
この10年間で訪問した先は、27カ国40都市にのぼる。
「Being ALIVE Japan」の取り組みとは?
「HEROs AWARD 2018」では、受賞した6つの活動から特に優れた1つが選出され「HEROs OF THE YEAR」が贈られた。
今回選ばれたのは特定非営利活動法人「Being ALIVE Japan」。
難病や慢性疾患など長期療養を必要とするこどもに、スポーツを通じて「仲間(TEAMMATES)との青春」を提供しようという団体だ。
療養中のこどもは体を動かす機会が少ないため、体力維持が課題となるだけでなく、社会とのつながりが希薄になりがち。そこで、病院や地域社会のなかにスポーツ・レクレーション活動を作ろうというわけだ。
例えば、Bリーグのアルバルク東京や大阪エヴェッサ、社会人アメリカンフットボールのノジマ相模原ライズ、慶應義塾体育会野球部などと協働した、退院・復学支援事業では、こどもをチームの一員として迎え、練習や試合に参加する場を提供している。
「Being ALIVE Japan」代表で長期療養生活の経験を持つ北野華子氏は「私自身、もう一度走りたいという思いが治療をがんばるモチベーションでした」と言って、こう続けた。
「参加したお子さんが、全力で取り組ませてくれるチームだったと話してくれました。療養中のこどもたちは、周りから『無理しなくていいよ』、『がんばらなくていいよ』とよく言われます。でも、彼らは全力でやりたいし、そういう機会がほしい。改めてそのことに気付かされました。
医療者や家族だけでは創り出せないこどもたちの『青春』は、TEAMMATESとなら創れます。TEAMMATESの存在は長く続く療養生活の支えだけでなく、こどもたちの人生の糧になると信じています」