フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
紀平梨花16歳、GPファイナル頂点。
驚くほど完成度の高い新女王誕生。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2018/12/10 17:00
16歳の新女王となった紀平梨花。ザギトワ(左)とトゥクタミシェワを含めた顔ぶれに、新時代を感じる。
「ユヅルの痛みを考えて滑った」
フリー『カルメン』では、予定していた3ルッツ+3トウループが、3+1になるというミスがあったものの、残りをノーミスで滑り切ったのは五輪女王の意地だったのに違いない。
後になって、フリーの演技前にフロアでウォームアップ中に躓いて右足首をひねってしまったことが判明。いくらか痛みがあったというが、「(羽生)ユヅルの痛みに比べれば、このくらいは何でもないと思って滑った」とロシアメディアに告白したという。フリー148.60で総合226.53で2位に終わった。
8年ぶり復活のトゥクタミシェワ。
3位に入ったのは、2015年世界チャンピオンのエリザベータ・トゥクタミシェワだった。SP、フリーとも3アクセルに挑み、どちらも完璧な着氷はならなかったもののミスを最低限に抑えて総合215.32で4年ぶりにGPファイナルの表彰台に返り咲いた。
「今日は自分のためにクリーンな演技がしたいと思って滑りました。満足のいく滑りが見せられたと思います」と笑顔を見せた。
惜しくも4位、坂本花織。
GPファイナルに初進出した坂本花織は、SPではノーミスの演技で70.23を獲得。フリー『ピアノ・レッスン』では、3連続ジャンプの最後で転倒したのが唯一の大きなミスだった。
トップ3人の演技が良かったこともあり、フリー141.45、総合211.68で残念ながら表彰台には届かなかった。
悔しさもあったながらも、ここで表彰台に上がっていたら「フワフワした状態で全日本に行くことになった」と、ここでの結果を「神様のお告げ」と受け止めていると翌日振り返った。全日本に向けての課題は「やるべきことをしっかりやること」と決意を口にした。