フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
紀平梨花16歳、GPファイナル頂点。
驚くほど完成度の高い新女王誕生。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2018/12/10 17:00
16歳の新女王となった紀平梨花。ザギトワ(左)とトゥクタミシェワを含めた顔ぶれに、新時代を感じる。
パトリック・チャンが絶賛。
紀平の勝因の1つは、ジャンプなどの技術だけではなく、表現力などを評価する5コンポーネンツの高さである。5カテゴリーともほとんど9点台が並ぶという、シニア初年の選手にしては驚異的に高いスコアが出た。
濱田コーチは「トリプルアクセルだけじゃない。ステップもスピンもスケーティングも良くなっているから、ちゃんと良い4分間を見せてね、と言いました」と明かした。
カナダのテレビのコメンテーターとしてプレスルームに姿を現した元世界王者、パトリック・チャンは筆者にこう語った。
「今回の女子の中で、リカのスケーティングの巧さは抜き出ていました。彼女のスケーティングは緩急をきちんとつけている。強弱が滑りで表現できる質の高いスケートだった」
世界一のスケーティング技術を持っていると言われたチャンに絶賛された紀平のスケーティング。ジュニアからシニアに移行したばかりなのに、驚くほど完成度の高い新チャンピオンの誕生となった。
ノーコメントだったザギトワ。
タイトル保持者として戻ってきたアリーナ・ザギトワは、SP『オペラ座の怪人』で最後までミスなく滑り切ったものの77.93で2位スタートとなった。
後に、時差で体調の調整がうまくいかずに少し硬さがあったことを告白した。
記者会見でアメリカの記者から「今シーズンの(紀平)リカは昨年のあなたの立場にいるが、挑戦者をどのようにして振り切るつもりなのか。何か構成など変える予定はあるか」と聞かれると、通訳を介して「それについてはコメントしないでおきます」とそっけなくかわした。