球道雑記BACK NUMBER
香川で深夜の洗濯、千葉で再会。
ロッテ大木貴将と打撃投手の友情。
posted2018/12/02 10:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
「ロッテに来てくださいよ、また一緒にやりましょうよ」
今から3年前の2015年のプロ野球ドラフト会議の前夜のこと。
当時、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズに籍をおいていた大木貴将と、千葉ロッテで打撃投手兼チームスコアラーを担当する渡辺靖彬(やすあき)はそんなLINEのやり取りをしていた。
2人は香川オリーブガイナーズ時代、ともに汗を流した元チームメイトという関係である。歳は大木が1つ上だが、当時から兄弟のようにとても仲が良く、渡辺が香川オリーブガイナーズ退団後、球団スタッフとして千葉ロッテに雇われてからも、関係は家族ぐるみで続いていたという。
そして――。
2015年の育成ドラフト1位で大木の千葉ロッテ入団が決定すると、渡辺はすぐさま祝福のLINEを彼に送った。
「おめでとうございます! また一緒になりそうですね。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
まるでこうなることが運命であったかのように、2人の縁は繋がる。選手と選手の関係から、選手とスタッフの関係で。新たなストーリーがここからまた始まった。
独立リーグ時代は寮が隣同士。
香川オリーブガイナーズ時代、2人は寮の部屋が隣同士だったという。当時はグラウンド外でもともに過ごすことが多かったため、思い出は数知れない。
渡辺は当時をこう振り返る。
「洗濯は年上から順番にしていたんですけど、僕ら一番下はその間ずっと待っていた。ナイター終了後は、夜中2~3時になることもざらにあったんですね。やっと順番が回って来て大木さんが先に回し始めるんですけど、洗濯が終わるまで待ち時間が40~50分はある。次の日がデーゲームだったりすると、大木さんが寝落ちしちゃったりすることもあったんです。
それを僕が代わりに干したこともありましたが、自分はその後洗濯するので、寝る時間はもっと遅くなるわけじゃないですか。そうすると、たまに朝起きれないことがあったんです。そんな時に大木さんが自分を起こしてくれたりとか、本当に持ちつ持たれつ支え合うって関係で、毎日を過ごしていましたね」