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立ち技イベント「Krush」10周年。
記念大会にも表れた“イズム”とは? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byTakao Masaki

posted2018/11/27 11:00

立ち技イベント「Krush」10周年。記念大会にも表れた“イズム”とは?<Number Web> photograph by Takao Masaki

“レジェンド”山本真弘(左)と20歳の新鋭・里見柚己の戦いは、衝撃的な逆転劇で幕を下ろした。

「K-1という大舞台に続く道を」

「単純に言えば生き残るためですよね。選手たちには(旧)K-1という大きい舞台に続く道を作ってあげたかったし“キック界”にいても老舗団体のほうが強いですから」

 運営体制が変わったのは2009年の夏。トーナメント『Krushライト級GP』の途中だった。ちなみにこのトーナメントで優勝したのが山本真弘である。

 初代王座決定トーナメントの決勝は2011年3月に決まっていたが、東日本大震災の影響で延期を余儀なくされた。初のビッグイベント、2013年1月の代々木第二体育館大会は大雪に見舞われ、来場できなかったファンも少なくなかった。

 テーマ性のあるマッチメイクを得意とする宮田だが、アクシデントを乗り切るタフさも相当なものだ。

10周年大会メイン、新鋭が伝説をKO!

「興行をいっぱいやってれば、いろんなことが起きますよ。特に初期は、少ないスタッフで後楽園、新宿FACEと狂ったように興行やってましたね。昼夜興行もやりましたし。とにかく選手を作る(育てる)ことに一生懸命だった。そういう中で出てきたのが卜部兄弟(弘嵩、功也)であり武尊くんなんですよ」

 10周年記念大会も「今回はカードが弱かったね」で終わらないものになった。セミでは牧平が判定勝ちを収めたものの、渡邊が先制のダウンを奪って観客をヒートアップさせている。メインでは、里見が真弘を2ラウンドKO。「若い世代がどんどん前に出て盛り上げる」と気勢を上げた。

 真弘がKrushの歴史を背負ってメインに登場したとするなら、里見はその歴史に対して「未来は僕らで作る」という答えをきっちり出したと言えるだろう。宮田は里見の勝利について「このイベントに対しての結果も出してくれた」と表現している。

 武尊や卜部弘嵩などK-1、Krushでベルトを巻いた選手がリングに登場、挨拶するセレモニーもあった記念大会を、20歳の新鋭が締め括った。Krushにおいて“歴史”とは“未来”を作ろうとする動きの結果なのである。

【次ページ】 「毎週でも興行がやりたい」と宮田P。

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