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東京Vにあり大宮になかったもの。
昇格プレーオフは一発勝負じゃない。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/11/26 12:30

東京Vにあり大宮になかったもの。昇格プレーオフは一発勝負じゃない。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

大宮アルディージャのJ1復帰はならなかった。石井監督の退任も濃厚で、新たなフェーズを迎えそうだ。

攻撃のオプションは増えなかった。

 リーグ戦であげた65得点は、大分トリニータ、ジェフ千葉に次いで3番目に多い。24ゴールの大前は得点王に輝いたが、攻撃のオプションは多くないのだ。

 昨シーズンのJ2でランキング6位タイの18得点をあげていたロビン・シモヴィッチは、わずか6ゴールに終わっている。前線からのディフェンスを考えて彼ではなく富山が重用されたが、199センチの高さを使いこなせなかったのは誤算だった。

 シーズン途中に横浜F・マリノスから獲得したダビド・バブンスキーも、攻撃のバリエーションを増やすカードとは成り得なかった。

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 もっと言えば、昨シーズンから在籍するブラジル人FWマルセロ・トスカーノはほぼ構想外で、同じタイミングで加入したMFカウエは今季1試合も出場できずにJ2のアルビレックス新潟へ期限付き移籍している。

 プレーオフという大一番で使い慣れない組み合わせを頼りにしたのも、突き詰めればシーズンを通した積み上げができていなかったからと言わざるを得ない。

一発勝負でも、地力が物を言う。

 そうしたチームが拠りどころとしたのは、キャリアハイの12ゴールをあげたマテウスの個の力とリスタートだった。

 しかし、自分たちでボールを握れない展開では、マテウスが持ち前のスピードを発揮することはできない。大前の決定力も生かせない。直接FKからも得点をあげてきた背番号10は、1本のシュートも打てずに東京V戦を終えている。大宮が勝機を見出せるはずもなかった。

 東京Vのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は「我々はプレーオフの3試合をアウェイですべて勝たないといけない。それが難しいことだと全員が理解しているが、我々は自分たちに自信を持ってプレーして戦っている」と話した。

 プレーオフは一発勝負でも、チームを支えるのはシーズンを通して培ってきたオートマティズムであり、苦境を乗り越えてきた成功体験であり、対戦相手に左右されないスタイルである。

 それこそは、東京Vにあって大宮になかったものだった。

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