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ステルヴィオが秋のマイル王者戴冠。
電光石火の手綱さばきに脱帽。
posted2018/11/19 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
世界の名手のエスコートで、「絶対王者」の血を引く素質馬が、新・マイル王の座についた。
第35回マイルチャンピオンシップ(11月18日、京都芝外回り1600m、3歳以上GI)を、ウィリアム・ビュイックが騎乗する5番人気のステルヴィオ(牡3歳、父ロードカナロア、美浦・木村哲也厩舎)が制した。馬にとっても、騎手、調教師にとっても、嬉しいJRA・GI初制覇。ロードカナロア産駒としては、牝馬三冠馬アーモンドアイにつづく2頭目のGIウィナーとなった。
京都の芝外回りコースでは、3コーナーの下り坂で勢いがついて外に振られる馬が多くなる。そのため、4コーナーや直線入口では外がゴチャつき、内にスペースができることがままある。
このレースもそうだった。1番人気に支持されたモズアスコットが、4コーナーで外からスパートしようとしたとき、さらに外にいたロードクエストと内のレーヌミノルに挟まれるようにして接触。鞍上のクリストフ・ルメールが腰を落とすほどバランスを崩した。体勢を立て直して追い出したが、安田記念を制したときのような脚は使えず、13着に沈んだ。
「4コーナーで終わってしまいました」とルメールがコメントしたように、不完全燃焼の結果となった。
最後は切れの勝負になった。
そうしたアクシデントを尻目に、1番枠から出たステルヴィオは、内の最短コースを通ってスムーズに直線に向いた。そして、すぐ前で抜け出しをはかる3番アルアインの内に生じたスペースから突き抜けた。
直後にいたミルコ・デムーロの2番ペルシアンナイトは、ステルヴィオのさらに内から凄まじい脚で追い上げたが、頭差及ばず連覇を逃した。ラスト200m付近で、アルアインの内の隙間がひろがってからは目一杯追えるようになったものの、それまでは充分なスペースがなく、手綱を抑えたことも痛かった。
ペルシアンナイトから1馬身1/4差の3着となったアルアインもロスのない競馬をしたが、上位2頭に切れ負けした。