プロ野球亭日乗BACK NUMBER
若き侍が次々とメジャーに適応!
日米野球で見せた急成長の中身。
posted2018/11/15 15:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
最後は“甲斐キャノン”の発動だ。
9回1死一塁。ミッチ・ハニガー外野手(シアトル・マリナーズ)の放った遊撃へのゴロを源田壮亮内野手(西武)が捕って二塁ベースカバーの山田哲人内野手(ヤクルト)に送った。その山田の一塁転送のボールが大きく逸れて一塁フェンス方向に転がった。
しかしこれをカバーしたのが甲斐拓也捕手(ソフトバンク)だった。
ファウルゾーンから“キャノン”が炸裂して、二塁を狙った走者を刺して、日本のこのシリーズ3度目の逆転勝利が決まった。
「いつも通りにカバーして、当たり前のことを当たり前にやっただけです」
6回には1死一塁で今季メジャー24盗塁のアメド・ロサリオ内野手(ニューヨーク・メッツ)に盗塁を許した。10月15日のクライマックスシリーズで日本ハム・西川遥輝外野手に許して以来、実に1カ月ぶりの許盗塁。連続盗塁阻止こそストップしたが、この試合ではバットで貢献した。
若手選手もメジャーに対応し始めた。
7回には同点劇の口火をきる右前タイムリー。8回には2死から一塁にチームメイトの上林誠知外野手(ソフトバンク)を置いて左中間に決勝二塁打。
「上林さんが良く走ってくれました」
初戦に続くシリーズ2度目のマルチ安打は、肩だけではない代表捕手へのアピールだった。
「体は緊張しているけど、頭の中はすごく整理ができてプレーしている。しっかり準備ができてプレーできている」
こう語ったのは稲葉篤紀監督だった。
甲斐だけではない。
柳田悠岐外野手(ソフトバンク)や秋山翔吾外野手(西武)といった中軸選手ではなく、若手打者が躍動した。日本では経験したことのないメジャーのボールに、いかに対応するか。
今のところしっかりと対策をして、シリーズが進むにつれて適応してきているように見える。