炎の一筆入魂BACK NUMBER
松山竜平、早々にカープ残留決断。
新井さんの“いじられキャラ”継承?
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/11/13 11:30
プロ11年目の今季は初めて規定打席に到達して124試合で打率.302、12本塁打、74打点。日本シリーズでも打率.318を残した。
後輩にすごくいじられながら。
試合中も、タイムリーなどを打って塁上で喜ぶ松山に向かって、ベンチで両手を顔前から広げながら降ろす「すきっ歯」ポーズは丸や菊池だけでなく、鈴木や野間らの世代も笑顔で行う。ホームランを打って迎えるときも同じ「すきっ歯」ポーズをする後輩もいる。
それでも松山には受け入れる器量がある。年下の選手にいじられても笑って返すからこそ、笑いが生まれ、その場が和む。
「ほかの球団では考えられないくらいの一体感。そういうものがある。僕にしても後輩からすごくいじられながらね。僕もそれで楽しくやれている」
新井貴浩が“家族”と表現した温かい雰囲気づくりに一役買っている。
好きな野球を楽しくやろう。
FA権を取得するまでの選手になったが、'11年までは一軍と二軍の行ったり来たりを繰り返した。クビも覚悟した'12年からこう考えるようになった。
「難しい顔をして野球をするんじゃなくて、せっかく好きな野球ができているんだから、楽しくやろう」
グラブや帽子には「ENJOY!」とも刻んだ。意識改革がその後の好結果を呼び、団結力のあるチームに還元している。
ファンからも「アンパンマン」と呼ばれ、親しまれている。スタンドにもアンパンマングッズを手に応援するファンが少なくない。お立ち台での「鹿児島のじいちゃんとばあちゃん、俺やったよ!」もスタンドが沸く決め台詞となった。
「ファンの人も僕が出て行くことをさみしいと言ってくれていたので、残留することを決めてファンの人も喜んでくれるかなと思います」
ファンを大事にする松山がFA騒動でやきもきする全国のファンに、残留を報告した。