プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
ボランティアレスラーで再デビュー!?
大仁田厚がG馬場没20年の記念大会へ。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/10/30 17:00
ファンに囲まれて笑顔の大仁田厚。これまでも、これからも、その生き方は変わらず、ファンはそれを観にくるのだ。
ボランティアレスラー初戦に勝利。
大仁田はいつものようにパイルドライバーを繰り出して、イスやテーブルの破片を相手に叩きつけた。
被爆を回避した大仁田が、最後は電流爆破バットで雷電を仕留めてボランティアレスラーとしての第1戦に勝利した。
450人の観客が大仁田に声援を送った。
試合後リングに上がったボクシングをやっているという幼い少年に大仁田は頭からペットボトルの水をかけた。びしょ濡れになった少年は一瞬泣き出しそうな顔になったが、大仁田は「プロレスとボクシングとどっちが好き?」とマイクを向けた。
少年からは「プロレス」という答えが返って来て、観客の笑いを誘った。
ボランティアレスラーに引退はない。
「ボランティアレスラーが爆破マッチをやっちゃいけないよ。でも、最高。還暦を過ぎて今日、61歳になった男が、こうやってボランティアレスラーとしてデビューした。
無償の愛かな。
自分の中で本当に純粋に熱いものを感じました。やっぱり純粋であるべきですよ、人間は。大人になるとだんだんくすんだりしてくるじゃないですか。61歳という区切りの中で純粋になってみたいなっていう自分がいました」
大仁田はファンから贈られたリングをかたどったバースデイ・ケーキをうれしそうに手にした。
「うれしいですよ。こうやって作って来てくれて。引退の度に、マスコミのみなさんには毎回、記念品や写真のパネルをいただいてきましたが、これからはもう迷惑をかけることはありません。要求することもしません。ボランティアレスラーに引退はありません。最後までボランティアレスラーですから」
ところが、こう言ったばかりの大仁田が、今後の意外な予定を口にした。