プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ジョンソンの103球を導いた石原慶幸。
カープに先勝をもたらした布石とは。
posted2018/10/29 18:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
延長12回引き分けに終わった第1戦。ソフトバンクが6安打、広島が8安打で奪った得点がそれぞれ2点ずつという内容に、両チームともに「打てなかった」という印象が強く残った。
そこで第2戦をどう考えるかだ。
考えかたは2つある。
1つは打てなかったのだから、打線のテコ入れをして得点力を上げること。もう1つは打てないのだから、できるだけ失点を防ぐために守備重視の形を作ることである。
ソフトバンクの工藤公康監督は前者を選択した。
広島の先発左腕、クリス・ジョンソン投手を意識して1番に川島慶三内野手を入れ、5番には不慣れな左翼守備に目をつぶってアルフレド・デスパイネ外野手を起用した。また第1戦で1番・右翼で先発した上林誠知外野手の代わりにジュリスベル・グラシアル内野手を右翼に回して、三塁には不振でスタメンを外れていた松田宣浩内野手を抜擢した。右打者をずらりと並べた超攻撃布陣で得点力アップを図った訳である。
広島は、守りを選択した。
一方の広島は動かなかった。
大きな理由は、ソフトバンクの先発が初戦と同じ右のリック・バンデンハーク投手で、打線をいじる必要がなかった。
あえてやることがあるとすれば、シーズン中からジョンソンが先発のときには、必ずコンビを組んでマスクをかぶってきた石原慶幸捕手をどうするか。打力を優先するなら會澤翼捕手という選択肢もなくはないが、あえてそんな冒険はせずにジョンソンの投げやすい相方を選択。強いて言うなら、これが広島・緒方孝市監督が守りを優先した選択をした部分である。
結果的にはこの緒方監督の選択が、勝負を分けることになった。