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「来年はドバイと凱旋門賞に行く」
オジュウチョウサンと名物オーナー。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/27 11:00
オジュウチョウサンのオーナー長山尚義。取材陣に記念グッズを山ほど持たせてくれた。
「もちろん勝ちに行くよ」
障害界の絶対王者の名をほしいままにしてきたオジュウチョウサンが障害レースを続ければ、2勝、3勝……と、さらに勝利を積み重ねていたことは容易に想像がつく。それでも、あえてチャレンジの道へと突き進んだ。
「障害レースだからってバカにされていて、賞金も少ない。あのままではオジュウチョウサンも強い障害馬で終わってしまう。オジュウチョウサンの可能性を終わらせてしまっては申し訳ない。そういった意味で、平地でどれだけ強いのかというところを見せないといけないと思った。
しかも、オジュウチョウサンは、もう7歳。年齢的なものを考えても、来年、再来年に挑戦というわけにはいかない。だったら、ラストチャンスで頑張ってみようってね。有馬記念に出走することが可能になれば、もちろん勝ちに行くよ。これだけファンの多い馬を平地に挑戦させるんだから」
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そもそも、オジュウチョウサンの障害競走から異例の平地参戦にあたっては、レース選択や騎手選択に関して、賛否両論繰り広げられた。しかし、「単純に割り切って考えないと。結論を出すのは俺しかいないんだから。憎まれようが、何を言われようが、俺が方向性をつけてやってやるだけ」と長山は意に介さなかった。
長山オーナーってどんな人?
一体、オーナー・長山尚義とはどういう人なのか。
事務機器の販売やオフィスの総合管理を手掛ける株式会社エース事務機を営んでいたが、現在は社業を息子に譲り、新橋にあるオフィスで、馬関連会社、株式会社チョウサンの代表取締役を務めている。
学生の頃から、自ら「ヲタク」を認めるほど熱心に競馬を研究していた。短波放送に聞き入り、学校近くの場外馬券場に足を運び、時間さえあれば馬の血統に関する知識を猛勉強。
馬主になったのは、「昔、11PMという番組があって、大橋巨泉さんが馬主もどきができると話しているのを見た」ことがきっかけだった。当時は30代のサラリーマン。一口馬主デビューを飾った。