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「来年はドバイと凱旋門賞に行く」
オジュウチョウサンと名物オーナー。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/27 11:00
オジュウチョウサンのオーナー長山尚義。取材陣に記念グッズを山ほど持たせてくれた。
出資馬で通算277勝の強運。
初めて出資したサッカーボーイはいきなりGIで2勝。その後、バブルガムフェロー、ダンスインザダーク、ステイゴールドと続き、オルフェーヴル、ジェンティルドンナの3冠馬2頭にも出会った。現在まで出資&所有した馬はのべ120頭。そのうち出資馬で通算277勝を挙げる、強運の馬主だ。
競馬と真剣に向き合った50年という歳月の賜物なのか、これまでの蓄積が絶対的な自信の裏付けとなっているのか、長山が発する一言ひとことは力強く、威勢もいい。その迫力には終始圧倒されるばかりだった。ときには会話が少し噛み合わないこともあったが、その言葉はシンプルかつ痛快だった。
ここまでくればもはや「オジュウチョウサンは俺個人の馬じゃない」という長山。競馬界の異色のスターホースは、様々な人の思いを背負って、夢の有馬記念の舞台へと向かう。
もっとも、長山の夢は有馬記念にとどまらない。
「来年はドバイに行こう、凱旋門賞にも行こうって話してるんだよ」と、海外でのレースも視野に入れているようだ。
無謀か、英断か――。
Number964号「秋競馬。王者の挑戦状」では、ノンフィクション作家・後藤正治氏が、オーナーの長山氏や調教師などを取材して執筆した記事「オジュウチョウサン 前代未聞の夢の灯」を掲載。そのほか、武豊の4000勝記念インタビュー、ルメール&レイデオロ、福永祐一のインタビューを始め、1992年天皇賞(秋)&有馬記念など過去の秋競馬の逆転物語を掲載しています。