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eスポーツで刻まれた巨大な一歩。
LoLの世界大会で日本代表が初勝利。
text by
岡安学Manabu Okayasu
photograph byManabu Okayasu
posted2018/10/28 11:00
日本代表が世界で戦う場面は、どの競技でも一体感を醸成するうえで大きな契機となりうる。
アウェイのキツさは全競技共通。
DFMの5人の中で、昨年のWorldsに出場しているのはEvi選手のみ。いきなりの大舞台で活躍できたというだけでも、驚愕に値する。日本から駆けつけたファンや現地のファンの応援もあったが、さすがに数は少なく、アウェイとは言わずとも勝手が違う場所であることは間違いない。慣れない会場での試合では、普段以上に疲労の蓄積がはやい。それだけに、プレーオフ進出を決めた瞬間の彼らは喜びと安堵感が混じり合ったなんとも言えない表情を見せていたのだ。
グループステージへの参加をかけたプレーオフでは中国チームに0-3で完敗し、DFMのWorlds2018は幕を閉じた。それでも初勝利をおさめ、強豪相手のグループを突破したことは、日本チームが世界で戦えることの証明となり、間違いなく今後の糧となるだろう。
世界の頂点はまだはるかに遠い。
ただ、単純に喜んでいられない事実もある。
実はプレイインステージを勝ち抜いたチームが進出するグループステージからが、いわばWorldsの本番と言ってもよく、このグループステージに直接シードで出場するチームが12ある。
これまでの国際大会での実績から、各国、各地域にグループステージのシード権が与えられており、日本は現在シード権がなく、1つ下のステージからの出場を余儀なくされているのだ。
グループステージのシード権は、韓国が3枠、中国が2枠、ヨーロッパが2枠、北米が2枠、台湾・香港・マカオが2枠、ベトナムが1枠で、日本が戦ったチームは、このシード権を取れなかったチームということになる。
つまり、Cloud9は北米3番手のチームで、プレーオフで完敗したEDward Gamingは、中国3番手のチームということになる。彼らがそれぞれの国の上位2チームより弱いと一概に言うことはできないが、少なくとも同等かそれ以上に強いチームがいるのは事実だ。日本チームは、まだその戦いに参入するレベルに達していないとも言える。
サッカー界では、日本がワールドカップに出場するのを疑う人は少なくなっているが、決勝トーナメントに安定して出場し、さらに優勝を争えるチームかというとまだ道のりは長いというのが正直なところだろう。そしてその結果にサポーターは満足できてはいない。
LoLのWorldsにおいては、今回の勝利は日本ファンが待望した瞬間だった。しかし、やはりファンは満足まではしていないだろう。