リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
1位バルサ、2位がエスパニョール!?
新監督が選手の劣等感を消した方法。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto PRESS
posted2018/10/26 07:00
かつて中村俊輔も在籍したエスパニョール。ルビ新監督のもとで今季序盤戦は驚きの躍進を見せている。
開幕前の見事なスピーチ。
そんなルビにチーム再建を託すことを、エスパニョールは春の時点で考えていたという。
ルビには優れたリーダーの資質が幾つかあるが、最も重要なのは選手のメンタリティを変え、適切なモチベーションを与えられるところだろう。
見事なのはプレシーズン開始時のスピーチだ。
昨季のウエスカの正GKアレックス・レミーロ(現アスレティック・ビルバオ)は、確信をもって話すルビの姿をいまも忘れない。
「対外的には『目標は2部残留』にしておくと口では言っていたけれど、監督の頭にあったのは1部昇格。それがこちらにはっきり伝わってきた」
エスパニョールでキケに見限られた選手たちを前に語ったことは、ルビ本人が明らかにしている。
「リーガには我々よりずっとずっと強いチームが2つ、それから我々より上といえるチームが2つか3つあるが、他は大差ない。だから、その5チームのすぐ下を狙っていこうと言ってやったんだ」
心酔するペップのように。
劣等感から解放された選手に対し、ルビが次に行なったのは、「信頼」を態度と言葉で表すことだった。すると、ミスが出場機会の喪失に直結していたキケ時代にはなかなか得られなかった自信が選手たちの中に芽生え始めた。
そうして“復活”したのがMFマルク・ロカやCBマリオ・エルモソだ。昨季はキケに不合格印を押されて影を薄くしていたが、2人とも今季は開幕から第9節まで全試合に出場して目覚ましい活躍を見せている。
もうひとつルビが大きく変えたのはプレースタイルだ。
同じ地域の出身で1歳下のグアルディオラのサッカーに現役時代から心酔しているルビは、前述のとおり、ボールを保持して常に得点を目指すことを好む。それが、いまのチームには合っていると左SBのディダク・ビラは感じている。
「前のスタイルよりしっくりくる。みんなパスをつなぐことを楽しんでいる」