フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
GPシリーズ開幕で金銀を日本人独占。
宮原知子、坂本花織らが一気に覚醒。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2018/10/24 17:00
世界から絶賛された宮原知子の演技。次戦、11月9日から始まるNHK杯での連勝も期待される。
一皮も二皮もむけた坂本。
坂本花織は、SPが印象的だった。
はなびらのようにぼかしの入った赤紫の衣装と長い黒髪を肩まで下ろした姿は、はっとするほど艶やかである。学生さん、という雰囲気だった昨シーズンのイメージから比べると、わずかな間に驚くほど洗練された。
SPの音楽はエリック・サティの『ジムノペディ』にシャルロット・チャーチのヴォーカルアレンジを加えたもの。振付は、デイビッド・ウィルソンによる。
静かで単調ともいえるメロディが、逆に坂本のスピードのあるスケーティング、見ていて爽快なジャンプの大きさなどを強調する。彼女は、いずれ桁外れの選手に成長していくのではないかという可能性を感じさせる、心引き込まれる作品だった。
このSPではイタリアのジャッジが、5コンポーネンツ中4課目で9点台を出している。坂本の演技に心から感動した証に違いない。これもシーズン中盤、後半にかけて滑り込んでいくうちに、もっと得点の伸びる名プログラムとなるだろう。
フリーはサウンドトラックの『ピアノ・レッスン』。振付は昨シーズンも彼女のプログラムを手がけたフランス人振付師、ブノワ・リショーで、昨季のフリー『アメリ』に大人っぽさを加えた作品である。
欲を言えば、SPもフリーも静かな曲調になっているので、どちらかはもう少しメリハリのある音楽でも良かったかとも思うが、いずれも坂本の技術の質の高さが際立つ構成になっている。
今春より米国で練習している本田真凜。
一方本田真凜は、SPで4位だったもののフリーではジャンプのミスが重なり、総合8位に終わった。
本田は今年の春から、カリフォルニアのラファエル・アルトゥニアンの指導を受けている。今大会男子シングルで優勝したネイサン・チェンのコーチでもあるアルトゥニアンはジャンプを教えることに定評があり、同時に選手の調整もうまいコーチと言われている。
これまでアシュリー・ワグナーなど、スランプ気味だった選手を何人も表彰台へと復帰させてきた。