フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
GPシリーズ開幕で金銀を日本人独占。
宮原知子、坂本花織らが一気に覚醒。
posted2018/10/24 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
10月19日、ワシントン州エヴァレットで今シーズンのGPシリーズ初戦、スケートアメリカが開催されて、いよいよ本格的にシーズン開幕となった。
オリンピックが終わったばかりの今シーズンは、新しい4年の始まりとなる。これから2022年北京オリンピックまでにどのような流れと展開になっていくのか、このシーズンからまた新たな戦いが繰り広げられるのだ。
そんな中で、日本女子は素晴らしいスタートをきった。スケートアメリカで、宮原知子が優勝、坂本花織が2位と、昨シーズンと同じくトップ2席を独占したのである。
凄みを感じさせた宮原のフリー。
素晴らしかったのは、順位だけではなくその内容だった。
宮原知子は、特にフリーが圧巻だった。
タンゴの巨匠、アストラ・ピアソラの『ブエノスアイレスの冬』と、アントニオ・ビバルディの組曲『四季』から『冬』のメロディをアレンジした音楽を使用し、振付師はアメリカ人のトム・ディクソン。
ジャンプの正確さは相変わらずながら、怪我から回復したてだった昨シーズンに比べて明らかに高さが増し、着氷に余裕が見える。課題だった回転不足判定は、今回は一度も取られなかった。
NBCテレビのコメンテーターをつとめた長野オリンピック女王のタラ・リピンスキーは、「サトコの動きには1つひとつに意味がある」「たとえ音楽無しで滑っても、エキサイティングな演技ができるスケーター」と絶賛した。
ヒスパニック系の踊りとしては、2015年/2016年シーズンに滑ったSP『ファイアーダンス』以来だが、今の宮原には当時になかった貫禄と凄みが感じられる。スケールの大きな選手に育った、と実感させられた。
5コンポーネンツは今回は8点台後半だったが、今シーズン中に9点台が並ぶことになるだろう。スケートアメリカのフリーでも、ロシアとアメリカのジャッジが5課目とも宮原に9点台を出したことは、大きい収穫だったはずだ。