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今季22本塁打の超詳細データから、
打者・大谷翔平の弱点を探してみた。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byAFLO
posted2018/10/12 17:30
バットを振ればボールは外野スタンドに一直線。大谷翔平のHRは何度でも見たい驚きの弾道だった。
小早川が衝撃を受けた打ち方。
ところが4月27日、早くも「大谷分析」は修正が必要になる。ヤンキース戦の2回裏、先発ルイス・セベリーノが内角に投じた156.4kmのフォーシームを、ライトスタンドに弾き返した。
この一打を、小早川氏はこう解説する。
「おそらく投手として、あの球は『打たれることはない』と確信したボールだったと思います。内角の速い球というのは、それだけ打者にとって難しいのです。決して失投ではありません。ところが、それをスタンドまで運んでしまった。さらに、私が衝撃を受けたのは打ち方です――」
ここから小早川氏は、プロの世界でホームランを打ち続けた者にしか分からない、ディープな技術論と、あの1本が対戦相手にもたらすダメージを語ってくれた。
大谷自身も手応えを得ていた。
そして大谷自身も、この一発には手応えを得ていた。巻頭のインタビューで、こう明かしている。
「セベリーノ選手から打ったホームランは、けっこうよかったと思います。インコースのボール球、97マイルのまっすぐだったんですけど、あれは今までだったら絶対に打ててないところでした。それを、反応で打てた。しかもホームランにできたというのは、(他のピッチャーに対しても)その後の精神的なアドバンテージが違ったと感じています」
メジャーを代表する右腕からの一撃で、内角攻めも克服した。では、球種についてはどうか。今季放った22本塁打の球種の内訳は、以下のとおりだ。
フォーシーム=11本
ツーシーム=4本
シンカー=3本
チェンジアップ=2本
カーブ=1本
スライダー=1本
直球系が半数以上を占めるが、変化球にもうまく対応している。強いて言えば、スプリットを打っていないことが、大谷にとってのネガティブな傾向か。