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今季22本塁打の超詳細データから、
打者・大谷翔平の弱点を探してみた。
posted2018/10/12 17:30
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
AFLO
読書の秋、食欲の秋、芸術の秋。でも今年は、データの秋……。
Number963号の大谷翔平特集に掲載する「大谷翔平2018全ホームラン」ページ作成のため、この秋はMLBのデータ解析システム「スタットキャスト」と真正面から向き合ってみた。
なにしろ和製ベーブ・ルースは、104試合で22ものアーチを放ってらっしゃる。その飛距離、打球速度、打球方向、対戦投手、球速、球種、イニング、カウント、走者、何打席目かを徹底的に調べ上げる。
小早川毅彦さんによるホームラン解説の取材も終わり、連日の深夜作業の末に、無事誌面も完成。ふーっと一息ついていたら、鬼デスクからこんな指令が飛んできた。
「今回調べたホームランのデータを基に、打者・大谷の弱点を調べて、NumberWeb用の記事を書いてくれ」
データの秋、延長戦に突入。とはいえデスク、簡単に「弱点」と言われましてもねぇ。
HRの平均飛距離は125.14m。
今季、大谷が放ったホームランの平均飛距離は125.14m(ちなみにエンゼルスタジアムのホームからセンターフェンスまでの距離は121.9m)。平均打球速度は、171.22km。しかも22本のうち、ライト方向8本、センター9本、レフト5本と、広角に打ち分けている。
重さ約148gのボールを、テニスの錦織圭のサーブ並みのスピードで、あらゆる方向に125m以上もぶっ飛ばす。そんなパワーと技術を持つ怪物に、弱点なんてあるのだろうか。
開幕当初、メジャーの投手たちは、その「弱点」の1つが内角だと思っていたはずだ。4月3日、本拠地デビュー戦で放った初ホームランこそ、内角への118.4kmのカーブをすくい上げたものの、その後の2号、3号は外角への速球。
そこから20日近く一発は出ていなかったから、きっと対戦投手は「内角に速いボールさえ投げておけば、ホームランはない」と分析していただろう。