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ポルトガルの次世代に世界が騒然。
130億円の19歳が引っ張る若返り。
posted2018/09/24 11:30
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Uniphoto press
坂の途中のレストランで、優しい調べに誘われて路上で踊り始めた老夫婦を見た印象が強いからかもしれない。ユーラシア大陸の最西端にあるポルトガルでは、柔らかい時間がゆっくりと流れているような気がする。
しかし、フットボールの印象は正反対だ。特に今季はサイクルの早さが増した感がある。
そのイメージを強めるのが、首都リスボンを本拠地とするベンフィカだ。いや、正確に言えばポルト、スポルティングとともにポルトガルサッカーにおいてビッグ3と呼ばれるクラブの、2人の若者だ。
母国に負けない豊かな歴史を誇る名門は、少しずつ新たな章を書き進めている。
ベンフィカは着実に若返っている。
長年キャプテンのアームバンドを巻いて最終ラインに君臨してきたルイゾンは、負傷を機に昨季途中から出場機会を失った。ピッチから離れた37歳のCBは、今や柔和な表情で地元メディアを飾るだけで、今季途中にも退団、シーズン後には引退するとささやかれている。
すでにエリゼウはクラブを離れ、今季の最終ラインで三十路を越えたのは32歳のジャルデウだけだ。チーム全体を見渡しても、他の30代は中盤のリュボミル・フェイサと、最前線のジョナスだけである。
昨季はポルトにタイトルを譲り、リーグ5連覇を逃した。その裏で、着実に若返りは進んでいた。
ポルトも高齢化が進んでいるばかりではないが、37歳のイケル・カシージャスら守備陣にベテランが揃い、主力は30歳に近づく選手が多い。反対に、ベンフィカの若さが印象を強めるのには理由がある。
今季台頭しつつある、2人のティーンエイジャーの存在だ。1年前のこの時期には、まだベンフィカBでプレーしていた。
「練習が終わって、母さんと友だちと一緒にカフェにいたんだ」