野球のぼせもんBACK NUMBER
172cmで2mの記録を超えてやる!
福岡の変則左腕・嘉弥真新也の意地。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/09/26 11:45
サイドスローの変則左腕という嘉弥真新也。沖縄出身のホークス生え抜き選手である。
「目指す投球スタイルは日ハムの宮西さん」
そして、今シーズンはシュートの精度が高いという。ベース板の横幅で勝負をする嘉弥真の生命線は、左打者の内角をどれだけ突けるか。
工藤公康監督も「左のインサイドにしっかり投げきれるようになったことでバッターへの意識づけが出来て、外が遠くに見えている」と頷く。だからスライダーが生きている。
また、夏場に好調をキープできたのは昨年からさらに成長した証だ。昨年の8月は防御率6.75、9月は同9.00だった。
「今年はブルペンで『肩を作る』球数を減らしました。去年は16球ほど、今年は12球です」
たった4球程度の違いかもしれないが、嘉弥真のようなタイプの投手はほぼ毎試合準備をする。143試合と考えれば、年間で572球の違いが出る。今後10年ならば5000球以上だ。
微差が大差とは、まさにこのようなことを言うのだろう。
「目指す投球スタイルは日ハムの宮西(尚生)さんです。強い球も投げられて駆け引きがすごく上手い」と話す。
現在28歳。
この脂の乗り切る時期に実にしたことが、嘉弥真のこれからのプロ野球人生につながっていくに違いない。