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『阪神園芸 甲子園の神整備』猛虎ナインも絶賛の職人魂。阪神園芸が「神」たる理由。
text by
山田隆道Takamichi Yamada
photograph bySports Graphic Number
posted2018/09/26 16:15
『阪神園芸 甲子園の神整備』金沢健児著 毎日新聞出版 1500円+税
阪神タイガース前監督の和田豊が現役引退した2001年秋。彼は引退スピーチにて、球団関係者やチームメイトに続いて「阪神園芸」という名前を出して謝辞を述べ、観客の喝采を浴びた。私の記憶では、甲子園球場のグラウンド整備を担う同社が阪神ファンから注目を集めたのは、これが最初だったのではないか。
以降、たとえば雨によって水浸しとなった甲子園の土や天然芝を驚異的なスピードで回復させ、なんとか試合開催にこぎつける同社の高度な技術(通年の管理も含めて)はマスコミを通じて広く知られるようになり、今では他球団のファンにも「阪神園芸=神整備」という認識が浸透しつつある。このように裏方に光が当たるのは、近年ニッチ化が進むプロ野球の真理を表しているようにも思う。裏方の技術に関心を寄せることは、コアなプロ野球ファンの潜在的なカースト意識を満たす行為にもつながりそうだ。