野球のぼせもんBACK NUMBER
172cmで2mの記録を超えてやる!
福岡の変則左腕・嘉弥真新也の意地。
posted2018/09/26 11:45
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
身長172cmの小柄な左腕が、身長2m超のかつてのレジェンド助っ人と球団記録で肩を並べた。
9月24日、ファイターズ戦(ヤフオクドーム)。2点リードの8回、嘉弥真新也(かやま・しんや)は3番手でマウンドに上がった。
ファイターズは中島卓也からの打順だったが、今季5打数5三振とあって代打が送られた。三塁ベンチから登場したのは両打ちの杉谷拳士だ。左キラーの嘉弥真だが、今季は右打者に対しても16打数0安打と全く苦手にしていない。ただ、この対戦ではフルカウントから惜しくもフォアボールを与えてしまった。
無死一塁で次打者は西川遥輝。
今季6打数0安打と得意な相手だ。
球団タイ記録の31試合連続無失点。
まずインコースのスライダーを投げ込んだ。懐のボールゾーンから、まるでテレビゲームのような軌道でグイッと曲がる。
西川はストライクを驚いた顔をして見逃した。
スライダーは、嘉弥真の武器の1つである。その後、3つボールが続いたがマウンドで慌てる素振りはない。5球目、139キロでゴロを打たせた。一塁手の中村晃が捕球してベースを踏み1アウト。素早く二塁へ送球するが、杉谷の背中に当たってしまった。
1死二塁。
次に右打ちの大田泰示を迎えるところで、一塁側ベンチからは若田部健一投手コーチが出てきて球審からボールを受け取った。
お役御免である。
嘉弥真はちょっと複雑な表情で、走ってダグアウトへ戻っていった。後続の打者はバトンを託された加治屋蓮が連続三振で仕留めてくれた。スコアボードに「0」が刻まれ、この回が終わった。
これで嘉弥真は、球団タイ記録の31試合連続無失点を達成したのだった。