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ボルトのサッカー挑戦が呼ぶ波乱。
陸上界は広告塔を失ってしかめ面?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2018/09/23 17:00
サッカー選手としてはまだ練習不足の「人類最速」ウサイン・ボルト。
技術的には劣るだけに……。
ボルト本人は真剣な挑戦だと訴えているけれど、絶対的な練習量や技術の差があることは否めない。
8月31日の試合後には「まだベストの状態ではないし、技術も追いついていないけれど、2カ月でそれは解消するはずだし、チームメイトとの連係もあと4、5カ月くらいあればうまくやっていけると思う」と話していた。
シムズ氏も「本格的な練習を始めたのはオーストラリアに渡ってから」と準備不足を認めているほか、同チームのマイク・マルベイ監督も「ボルトの技術向上には1年ほど必要だと思う」とコメント。
すぐに結果を求めるのではなく、同チームの育成チームなどで技術やフィジカルを鍛え、シーズン途中もしくは来季以降の正式メンバー入りを目指す計画のようだ。同チームは宣伝効果を狙った客寄せパンダとしてボルトを練習に誘ったのではなく、サッカー選手としての資質を見込んでいるのだろう。
技術的には間違いなく劣る部分が多いだろう。以前、「ボールよりも速く走ってしまう」とボルトは苦笑いしながら話していたように、ボールさばきは大いに改善の余地がある。しかし持ち前のスピードと2m近い長身からのヘディングは武器になるはずだ。今後、いかに泥臭く、そして真剣に取り組めるかが鍵になるだろう。
陸上界のスーパースター、人類最速男がプロのサッカー選手としてピッチに立つ日は来るのか。楽しみながら注目していきたいと思う。