プロ野球亭日乗BACK NUMBER
そのスライダーで一流打者を育てた。
悔いなき投手人生、杉内俊哉の引退。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/09/14 13:30
引退表明の記者会見を終え、花束を手に引き揚げる巨人の杉内俊哉。今後の話はまだ出ていないが、ぜひ“杉内俊哉2世”を育てて欲しい。
すっかり「野球好きのおじさん」に。
「僕が一軍で投げている間は、正直、楽しいと思った試合は1回もなくて、いつもプレッシャー、緊張、怖さとかそっちとの戦いの方があった」
引退会見で杉内はこう振り返った。
ただ、3年間のリハビリ生活の中で、KOされた悔しさのあまりにベンチの壁を殴って両手を骨折した激情はもうすっかりなくなっていた。
「若い選手の野球を見ていて“すげえ球、投げるなあ”とかすっかり野球好きのおじさんが見ている感じでした」
だから引退に悔いはないのである。