サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保ジャパン最高の第一歩を刻んだ。
システム、人選、正しい競争原理。
posted2018/09/12 11:35
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
上々のスタートと言っていい。
9月11日に行なわれたテストマッチで、日本代表はコスタリカを3-0で退けた。森保一監督は初陣を白星で飾ったわけだが、結果はもちろんふたつの理由でこの試合は評価できる。
ひとつはシステムである。
森保監督が好むシステムと言えば、すぐに連想されるのは3-4-2-1だろう。サンフレッチェ広島で3度のJ1リーグ優勝を成し遂げたオーガナイズは、兼任するU-21日本代表でも軸足となっている。
しかしコスタリカ戦の日本代表は、4-2-3-1のシステムで戦った。トップ下の南野拓実が1トップの小林悠と横並びにもなるが、2トップと言える立ち位置を取るのは主にディフェンスの局面である。いずれにせよ、最終ラインは4バックだった。
森保監督が思い描くのは、ロシアW杯の日本代表だ。
ロシアW杯でベスト8に迫った西野朗前監督のチームは、攻撃ではカウンターとポゼッションを使い分け、守備では前線からのプレスとブロックを敷いた対応を用いた。4-2-3-1のシステムをベースとしながら、フレキシビリティのあるサッカーを展開した。そのなかで、一人ひとりの選手が持ち味を発揮した。
「広島でやっていた形にこだわっていくというのはあるが、選手には色々な形に対応してもらいたい。柔軟性、臨機応変さを持ってやってほしいので、今日の形にした。それは、ロシアW杯にコーチとして参加させてもらって、西野監督から多くのものを学ばせていただいたから。それをこの先へつなげていくためにも、私自身トライをしたということです」
W杯で方向性が途切れなかったことの価値。
ワールドカップ終了後では史上初となる日本人監督の就任にせよ、U-21日本代表監督との兼任にせよ、好意的な視点ばかりではない。一部には懐疑的な見方もある。
しかし、ロシアW杯のコーチだった森保監督が日本代表の指揮権を託されたことで、これまでW杯を区切りに途切れ途切れだった日本代表の方向性がつながりを持った。使い慣れた3-4-2-1ではなく4-2-3-1を選ぶことで、森保監督自身が柔軟性や臨機応変さというキーワードを実践した。前監督のサッカーを土台としてレベルアップをはかっていくと、50歳の指揮官はコスタリカ戦で宣言したのである。
そこに、我々は大きな価値を見出すべきなのだ。