濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
DDT王座戴冠の里村からアイドルまで、
女子プロレス、夏の百花繚乱。
posted2018/09/12 10:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
DDTプロレスリング
8月31日の高山善廣支援大会『TAKAYAMANIA EMPIRE』(後楽園ホール)でセンダイガールズプロレスリングの里村明衣子とタッグを組んだ杉浦貴(プロレスリング・ノア)は、試合後にこんな感想をツイートしている。
「彼女と組んで女子プロレスラーのイメージ変わった。
ちゃんとした凄い選手もいるんだな」
当たり前だ、今まで女子プロレスを何だと思ってたんだと苦笑してしまったが、里村の試合ぶりに驚くのも無理はない。迫力、殺気、貫禄、ありとあらゆる“強さの説得力”をこの選手は持っている。どれだけ“女子プロ音痴”な人間でも、たとえ偏見があったとしても、里村には目も心も奪われるはずだ。
「男とも対等に闘う」、里村の強烈なアピール。
杉浦とタッグを組む3日前、里村はDDTのリングでKO-D無差別級王座を獲得している(8月28日、新木場1st RING大会)。
女子選手も所属するDDTだが、基本的な分類としては「男子団体」だ。その頂点に位置するシングルのベルトを、里村は巻いたのである。
男色ディーノを下し、女性として初のKO-D無差別級王者となった里村は、マイクを握ると王座奪取の意味を「世の中の女性たち」に向けて発した。
「もう我慢する時代は終わったんだよ。男と対等に勝負できないなんて思ってんじゃねえぞ! 私は男でも女でも、強い相手と対等に勝負していく」
インタビュースペースでは、勝因を「女子プロレスで培ってきた、そこで生き残ってきた私の強さ」だと語った里村。
リング上でのメッセージは以前から言いたいことだったようだ。
「女性だからといって一歩引いたり、我慢したり、そういう女性が弱音を吐くのを聞くことが多すぎて。だったら本腰入れて、対等にやってみろよと」