ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
大地震2日後、根室のリングで見た
ジャイアントパンダへの声援と笑顔。
posted2018/09/13 08:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Gantz Horie
9月6日未明、北海道を襲った北海道胆振東部地震。最大震度7を観測した巨大地震により道内全域が停電に見舞われ、多くの道民の生活に影響を与えた。
「さすがにあの時は、どうしたらいいんだろうと思いましたね」
そう語るのは、今や全国区の人気者となった身長3mの“着ぐるみレスラー”アンドレザ・ジャイアントパンダを生んだ、北海道根室市の社会人アマチュアプロレス団体「新根室プロレス」代表のサムソン宮本だ。
新根室プロレスでは、あの大地震のわずか2日後にあたる9月8日(土)に、地元の三吉神社のお祭り会場で入場無料のビッグマッチ開催を予定していたのだ。
広い北海道、震源地から遠く離れた根室市では、ほぼ揺れを感じなかったというが、停電は道内全域に及んでおり、それは根室も例外ではなかった。大会前日の7日昼まで、市内の多くの地域で停電が続いていたため、とても夜の屋外プロレスが開けるような状況ではなかったのだ。
前日まで電気が来ていない状況。
ただ、三吉神社例大祭でのプロレス大会は、新根室プロレスがまだ地元民以外誰にも知られていなかった13年前から毎年開催し、大事にしてきた大会。またアンドレザ・ジャイアントパンダは、昨年の三吉神社例大祭での試合の模様が北海道新聞根室版に掲載され、それがネットで拡散されてブレイクしたという経緯もあり、今回はとくに力を入れた、新根室プロレスにとって特別な大会だったのだ。
だからこそ、開催の是非について、大いに頭を悩ませたという。
「今回は、根室の多くの方々が楽しみにしていただいていた大会で、さらに東京をはじめ、いろんな地方からわざわざ根室まで来てくださるお客さんもいると聞いていたんで、なんとか開催したいなと思ってたんですけど。
いかんせん前日まで電気が来てませんでしたから、電気が来ないかぎり開催はできないなと、諦めかけていたんですよ。でも、『もしかしたら前日に復旧できるかもしれない』とも聞いていたんで、ギリギリまで迷いましたね」