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友・橋本真也と意地の真っ向勝負!
ヘビー級王者に獣神が挑んだ伝説の夜。
posted2020/04/26 19:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
1994年は獣神サンダー・ライガーにとって、充実した年となった。
この年、ライガーはIWGPジュニアヘビー級王者として、IWGPヘビー級王者の橋本真也に真正面からぶつかっていったのである。
ノンタイトルだったが、2人は2月24日、「IWGP無差別級決戦」として日本武道館で対戦したのだ。
この対戦が決まった時、思い出した試合があった。
あれは……この試合を遡ること8年前の大会だった。
1986年4月11日、後楽園ホール。新日本プロレスのビッグファイター・シリーズの開幕戦だった。シリーズ名にふさわしくアンドレ・ザ・ジャイアント、マスクド・スーパースター、上田馬之助、さらには前田日明らのUWF勢が参戦していた。
そんな豪華なメンバーの前座試合として、山田恵一vs.橋本真也の20分1本勝負が組まれたのである。
30キロの体重差で、さて、どう戦う?
山田は、1964年11月生まれ、1983年6月入門、1984年3月デビュー。
橋本は山田の少し後輩で、1965年7月生まれ、1984年4月入門、1984年9月デビュー。
21歳の山田は小柄でウェイトは85キロくらいだっただろう。一方の20歳の橋本は大きかったが、まだ115キロくらいだった。太ってはいたが、全盛期の橋本のずっしりした重圧感はまだない。
だが、この約30キロの体重差で2人がどう戦うのかが、非常に興味深い一戦だったのだ。
山田は1985年の第1回のヤングライオン杯では小杉俊二に敗れて準優勝だったが、1986年3月の第2回ヤングライオン杯では後藤達俊を破って優勝していた。
当時の山田は、体こそ小さかったがプロレスラーらしい、まさにイケイケの攻撃的なスタイルを持ち味にした選手だった。