松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹の「いいところ」はあった。
全英OPの初日失速でも顔を上げて。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2018/07/20 11:30
松山英樹が自分に課すハードルは高い。それだけに現状のパフォーマンスには歯がゆい思いをしていることだろう。
決して全部悪くはなかったよ。
松山は「いいところがなかった」と言っていたが、「いいところ」は、本当はいくつもあったはず。
少なくとも10番と18番のティショットの感触は良かっただろうし、グリーン奥のテレビ塔の手前まで転がってしまった13番(パー3)のパーセーブは見事だった。14番はミラクルショットに近いほどのウルトラCで深いラフから2オンに成功し、バーディーにつなげた。
だが、「何が、なぜ、どう悪いか。どう対処するか」の答えを1つ1つ出しては咀嚼する作業が完了できず、頭の中が消化不良のまま次々にやってくるビッグ大会で戦い続けている松山は、いつしか1つ1つの小さな「いい」が見えなくなり、「おしなべて全部いい」を求めてしまっているのではないか。
その理想像から外れてしまうと「いいところがない」と感じられ、メンタル面から負の連鎖に陥っていっているように感じられてならない。
「なぜ?」の答えがなかなか見えてこないのは、もしかしたら、それが目に見えないものだからではないのだろうか。
そんなことを考えながら必死に歩いたカーヌスティの18ホール。松山自身は夜にベッドで眠るころ、いくつかあったこの日の「いい」を思い起こすことはできただろうか。
決して全部悪くはなかったよ――それを2日目の松山へのエールとさせてもらいたい。