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日本らしさを表現し尽した90分間。
この敗戦がいつか大きな財産になる。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2018/07/03 11:50

日本らしさを表現し尽した90分間。この敗戦がいつか大きな財産になる。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

ベルギー戦を終えた日本代表。ロシアの地での4試合は、かけがえのない財産となった。

過去のどの大会よりも、日本らしさを表現し尽した。

 ベルギー対日本に先立って行われたブラジル対メキシコは、サッカー王国が後半の2得点で準々決勝進出を決めた。勝利を決定づける2点目は、後半終了間際の88分に生まれている。

 W杯でもクラブレベルでも、何かを成し遂げるチームは終盤に試合を決定づける勝負強さを持つ。それこそは、ベルギーにあって日本になかったものであり、西野監督が話した「紙一重の違い」の核心だ。

 だからといって、日本の戦いは責められない。

 西野監督のもとでチームが動き出したのは、つい1カ月ほど前の5月21日である。限られた時間でベスト16へ食い込み、世界の8強にあと一歩のところまで迫ったのだ。敗戦という結果は受け止めなければならないが、頭を下げることはない。

 ロシアで繰り広げた4つの戦いは、2020年の東京五輪へ、2022年のカタールW杯へつながっていくものだ。1993年の"ドーハの悲劇"がポーランド戦のラスト10分に生かされたと考えれば、ベルギーと真正面から撃ち合った一戦もまた、チームの遺伝子として受け継がれていくはずである。

 決勝トーナメント1回戦でW杯が終わりを告げたのは同じでも、’02年のトルコ戦よりも、'10年のパラグアイ戦よりも、ベルギー戦の日本は日本らしさを表現した。表現し尽くした。日本サッカーの可能性を示し、世界における現在地を知ることができた。

 ロシアW杯の日本は、未来につながる戦いをしたのだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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