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香川真司は「今に集中している」。
代表で輝けなかった姿はもうない。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/07/02 11:30
練習中も、香川真司の表情が変わってきた。自信を取り戻し、失うものは何もない。ベストパフォーマンスの条件は整っている。
メンバー落ちしてスタンドで見守ったあの試合。
大切なのは今であり、翌日の試合だという姿勢をこのところ強く見せる。
例えば2月の負傷など過去に関する質問が飛んでも「今に集中しているので」と一蹴することが、最近は増えているのだ。
ベルギーといえば、ハリルホジッチ監督時代に、香川が代表落ちをした昨年11月の遠征で対戦した相手。0-1で敗れたその試合を香川はスタンドで見守った。
メンバー落ちした選手がわざわざ試合を見に行くなんて……そんな声もあったが、香川は観戦に訪れチームの状態を把握し、メンバーと同じ気持ちを感じることで、のちに合流したときに備えた。実際にその経験は生きている。
「本当に昨日のポルトガルvs.ウルグアイもレベルの高い試合でしたし、今日もスペインが負けてるくらいなんでね、ベルギー戦は本当に厳しい戦いになるし、そんなに大差はつかないと思ってる。
ただほんと僕たちは前半、出だしどう戦うか、立ち上がりは特に良い入りがしたいなと。そこで主導権を握れれば、守備も攻撃も自ずと前向きにできると思う」
「僕のCLの経験上ね、ベスト16や8っていうのは」
自分たちがチャレンジャーであり、相手が上位に立つということを痛いほど理解している。
「相手はおそらくグループリーグでは割と楽な3試合で。親善試合も今大会の試合でも、立ち上がり、前半はゆっくり入るところを感じる。そういう相手の弱点はチームとしても話し合いができてるし、そういうところは突きたいなと思う。
ただ辛抱強くやりつづけないと、そんなに簡単に勝てる相手ではないので。まあうまくいかないことがあっても、ブレずにね、我慢しながら、120分あると思ってるんでそれはしっかりと集中していきたいなと思います」
ポーランド戦が終わり、突破が決定した直後は、ワクワクした様子を見せていた。
「ここからは何か、全て起こりうることですし、一発勝負なので、力の差はそこまで出ないのかな。僕のCLの経験上ね、ベスト16や8っていうのは何が起こるかわからないし、いや本当にきりかえて、楽しみですね」
自信、余裕、そしてワクワク感と期待感。'11年のアジアカップの頃以来見せていなかった、そんな空気感が今の香川からは感じられるだけに、ひょっとしたら何かが起きるかも。そう思えて仕方ない。