サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
香川真司は「今に集中している」。
代表で輝けなかった姿はもうない。
posted2018/07/02 11:30
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
ポーカーフェイスを貫く者、いつも明るく気を使っている者、誰に対してでもニュートラルな者、多弁な者、無口な者。大勢の選手がいっぺんに通るミックスゾーンでは、選手それぞれの様々な表情を見ることができる。
練習もしくは試合を終えてバスに向かうその間の数分間というだけだが、それでも少しは内面が透けて見えるのがミックスゾーンの面白さだ。
ベルギー戦前日、香川真司の表情は自信に満ちていた。笑顔で登場すると、短めにお願いしますというような、ちょっとしたジャブをこちらにかましてから受け答えを始めた。
「まあ予選(グループリーグ)を通して戦えてたやり方を、チームが自信を得てるし、はい、それをしっかりとまた細かいところはね、修正しながら、というのはありますけど」
と、話した口調を正確に再現するとこんな風だ。緊張感よりも、ワクワク感が勝っているのが伝わる、楽しげな口調だった。
今大会に入って、香川はひと皮むけたように見える。かつては10番を背負いながらも、どこか頼りなげで自信も感じられなかった。重圧に押しつぶされそうでもあった。代表では活躍と縁遠く、クラブでは活躍できているのになぜなのか、不思議にも思えた。
だが、ここにきて様子が違う。コロンビア戦でのPK獲得、そして先制点を決め勝利を掴んだ。目に見える結果を手にしたことで、表情が一気に違って見えるのが不思議だ。一発勝負にかわる決勝トーナメント1回戦ベルギー戦を前にしても、落ち着き払っている。
「冷静って言ったら変ですけど、あんまり、あれですねやっぱ開幕前が一番イヤでしたね」
「いつものように試合を迎える感じ」
調子は悪くないとはいえ、強化試合のガーナ戦では出場は後半だけ。続けて直前のパラグアイ戦で結果を出したとはいえ、大会が始まるまでは状態の良さに確信が持てなかったということなのだろう。だが、今は違う。
「今はほんと冷静ですし、冷静というかいつものように試合を迎える感じなのかなと。逆に緊張感をもっと持った方がいいのかわからないですけど、緊張感は勝手に出てくるものなので、そういう意味では良い調整ができてる。
初めてのベスト16ですけど、かといってみんな緊張してるわけでもないし。みんなが準備をしていつも通りの調整が今日もできて、明日を迎えるので、明日試合時間になっていいスタートが切れるように、それだけを意識して今日1日過ごしたいなと思います」