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七転八起のスケート人生に終止符。
村上大介はなぜこれほど愛されたか。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2018/06/25 10:30

七転八起のスケート人生に終止符。村上大介はなぜこれほど愛されたか。<Number Web> photograph by AFLO

異色の経歴ながら日本を代表するスケーターとなった村上大介。今後も発展に尽くしてくれるはずだ。

「スケートコミュニティに恩返しを」

 どのような成績であっても、穏やかに取材に対応する姿も印象的だった。そんな温かみのある人柄は、氷上にも表れていたように思える。『ピアノ協奏曲第2番』のように、叙情的な雰囲気を醸し出しながらも優しさのある演技に、それがにじみでていた。

 成績だけを見れば、際立っているとは言えないかもしれない。それでも確かな存在感を示してきたのは、その人柄から醸しだされる、会場を幸せな雰囲気に包むような魅力があったからではないか。技術や表現力で構成されるフィギュアスケートでは、順位にかかわらず心を打つ演技がある。それを体現していたスケーターだった。

 村上は1991年生まれで、1つ上に町田樹、同年代に無良崇人がいた。2014年12月に引退した町田、今年引退した無良に続いての引退となる。

 高橋大輔、織田信成、小塚崇彦の下の世代として切磋琢磨した彼らが氷上を去ったことは、世代の移り変わりを物語っている。そういう意味でも村上の引退はひとつの感慨を覚える。

 それでもフィギュアスケート界には、羽生や宇野昌磨を目標に、さらに上を目指そうと頑張っている若い世代の選手たちがいる。

 村上は「スケートコミュニティに恩返しをしていきたい」と語っている。これからはきっと、日本のフィギュアスケートの発展のために力を尽くしていくだろう。よりよき人生を、と願わずにはいられない。

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