球道雑記BACK NUMBER
甲子園でスター扱いドラ1の3年目。
ロッテ平沢大河は毎日が必死!
posted2018/06/20 07:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
打ったボールは、初球と同じ外角に落ちる変化球だ。それが高めに浮いたところを彼は見逃がさなかった。
「もう僕が決めるって気持ちで打席に入りました」
2018年6月17日、ZOZOマリンスタジアム。プロ入り後初となるサヨナラ安打に、千葉ロッテ・平沢大河は頭から何度も水をかけられ、グラウンドに押し倒され、揉みくちゃにされながら、チームメイトから熱い祝福を受けた。
「打席に立ったら常にヒットを打つ気持ちでやっていました。一安心です」
20歳の若鴎はお立ち台で喜びを爆発させるというより、どこかホッとした表情を浮かべていた。
内野だけでなく外野でのスタメンも。
5月24日以来、24日ぶりのスタメンだった。その間、打席に立ったのはわずか2回。チャンスはそうそう巡って来なかった。それでも一軍に居続けることに彼はこだわった。ポジションは本職のショートではなく、「小学生以来」と話した外野(ライト)だったが、なりふりなど構っちゃいられない。
指揮官の目の前でアピールを続けることが、自分を次のステージに向かわせると固く信じていた。
ある日の試合前練習のことだ。平沢は、球場内をせわしく走り回っていた。全体でのウォーミングアップが終了すると、まずは内野の守備練習に散っていく。
それが終わるとそのままライトの守備位置まで走って行き、打撃練習中の打球を追いかけた。時間にして大体5分ぐらいだっただろうか。この日は外野ノックを受けない代わりに、バッターの生きた打球を追いかけることで、不慣れな外野守備にも対応しようとしていた。毎日が必死である。