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香川が呼んだ必然のPK+一発退場。
コロンビアを脅かした「強い選択」。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/06/20 11:45
殊勲の大迫と香川が交代後にピッチサイドで聞いたタイムアップの笛の音は、いかほどに甘美なものだったろうか。
この勝利はムードを一変させた。
W杯ではこれまで一度も勝ったことがない南米勢から、過去3戦勝利なしのコロンビアからつかんだ勝ち点3は、長く払拭できずにいた停滞ムードを一掃する価値を持つ。同時に、パラグアイ戦でつかんでいた浮上のきっかけは、2戦目以降に向けた大きな自信へと変わっていくだろう。
1996年のアトランタ五輪でブラジルを撃破した“マイアミの奇跡”を引き合いにして、コロンビアから奪った勝利を“サランスクの奇跡”と呼ぶメディアもある。ただ、“マイアミの奇跡”はあくまでもグループリーグの1試合であり、西野監督にとっては決勝トーナメントへ進出できなかった悔しさが大きい。
だからこそ、試合後の記者会見に臨んだ西野監督は、すでにセネガル戦へ思考を切り替えていた。
「次のセネガルも、3戦目のポーランドも非常に厳しい。しっかり対応していかなければならないが、自分たちのストロングをいかに出せるかを考えたい」
何よりも、まだ1勝しただけである。大きな一歩を踏み出したのは間違いないが、日本はまだ何も手にしていないのだ。