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足立梨花にとってのサッカー日本代表 

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足立梨花

足立梨花Rika Adachi

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2018/06/08 10:00

足立梨花にとってのサッカー日本代表<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

忘れられない'11年のチャリティーマッチ。

 数ある代表戦の中で、私が今も忘れられないのは2011年3月29日に行なわれた「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」です。この日本代表とJリーグTEAM AS ONEとの対戦はいろいろな意味で印象に残っています。

 試合は最終的には意地を見せた日本代表が2-1で勝ちましたが、JリーグTEAM AS ONEはカズさん(三浦知良)のゴールもあり大盛り上がり。

 “代表戦”ではあるけれど、通常の国際試合とは違って、どちらのチームも日本人で、仲間で、顔見知り。一体どちらのチームを応援したらいいんだろうって(笑)。さらには客席もすべてホームという不思議な空間でしたし、スタジアム全体に一体感がありました。

 この試合、私はラジオのピッチレポートを担当させていただいたのですが、選手の表情や熱量を伝えられる立場にいるからこそ責任は重大だなと感じていました。

 実際、選手みなさんの表情からは通常の国際試合の時とは違う真剣さが伝わってきました。だけど、その一方でみんなすごく試合を楽しんでいる。そういった様々な表情を間近で見られたことは、個人的にも大きな経験、財産になりました。そして、あらためてサッカーの素晴らしさや力というものを感じる試合となりました。

 W杯や親善試合などがある中で、あれだけ多くの方が代表に注目した日はないんじゃないかというくらい、あの日は日本中の目が代表に注がれていたと思います。

 通常の代表戦が、真剣に戦って勝利を掴む姿で人に勇気や元気を与えるものだとすれば、あのチャリティーマッチは、サッカーの楽しさを伝えることはもちろん、選手たちの姿を見て、被災されて苦しい状況の中でも、「日々を楽しもう」と前を向いた方々も多かった、そんな試合になったはずです。

 私自身もこの試合での経験を経て、JリーグでのPR活動では、「みんなと一緒になって応援しませんか」「みんなで同じ気持ちになりませんか?」というように、喜んだり、悲しんだり、怒ったり……そういった感情を共有できる楽しさを意識できたような気がします。

【次ページ】 「私世代頑張れ!」という気持ちで。

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