福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
イニエスタに福西崇史も大期待。
「バルサで出さなかった一面も」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2018/05/24 16:45
温厚な性格で知られるイニエスタ。日本サッカーとJリーグに必ずや大きな財産をもたらすはずだ。
「使う選手」として大きな影響力が。
Jリーグに加入したワールドクラスの選手というと、近年ではイニエスタとチームメイトになるポドルスキ、セレッソにいたフォルランといったところです。
ただ彼らはストライカーということもあり、チーム全体が形を作れないといい形でボールが入らず、彼らを活かしきれないこともありました。正直なところ、コンディション面でも苦しんだところがあります。
一方、イニエスタの場合は皆さんも知っての通りゲームメーカーですし、今季のバルサでも存在感を見せていました。「使う選手」、「使われる選手」で言えば間違いなく前者。確実に試合全体において大きな影響力をもたらすはずです。
ヴィッセルには使われると活きる日本人選手が多い。そこでサッカーを知り尽くすイニエスタと一緒にプレーすることで「使われる時の質」がより伸びる可能性があります。最初のうちはパスをトラップするだけでも緊張するかもしれませんが(笑)。
イニエスタの高い予測力や展開力をトレーニングから体験することで、特に近い位置でプレーする藤田(直之)、三田(啓貴)、松下(佳貴)、三原(雅俊)らボランチの選手は、サッカープレーヤーとしての引き出しを増やせるでしょうね。
ポドルスキにとっても相乗効果が?
そしてイニエスタ個人についても、とても楽しみなことがあります。それは「バルサやスペイン代表ではないイニエスタ」が、日本のピッチでどんなプレーをするのかという点です。
イニエスタは今までバルサ一筋を貫いてきました。バルサでは、イニエスタが「使う選手」は誰もがスーパーな存在でした。
メッシを筆頭にロナウジーニョ、エトー、アンリ、スアレス、ネイマール……。名前を挙げるだけでも、すごいですよね。彼らにいい形でボールを渡せば、抜群の決定力を発揮してくれる。そのお膳立てに集中できていた。
スペイン代表でもビジャやフェルナンド・トーレスといったストライカーがいて、W杯制覇やEURO連覇を達成しましたね。
もちろん神戸にはポドルスキが在籍しているので、イニエスタは彼のシュートセンスを活かすでしょう。そして主導権を握れない時間帯に中盤に降りがちだったポドルスキも、ゴールに近い位置で仕事するケースが増えるのではないでしょうか。