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浦和・橋岡大樹は足がつっても走る。
いつか兄と共演、A代表を目指して。
posted2018/05/23 17:30
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
J.LEAGUE
幼い頃から赤いユニホームを着て、埼玉スタジアムのピッチに立つ日をずっと夢見ていた。試合前、大型スクリーンに「橋岡大樹」の文字が映し出され、名前がアナウンスされた瞬間、鳥肌が立った。
4月28日の湘南ベルマーレ戦。今年、浦和レッズユースからトップ昇格したばかりの弟の試合を初めてスタンドで観戦し、心を揺さぶられた。
「弟は頑張っているのに、俺はここで何をやっているんだと思った。悔しさは忘れてはいけないけど、弟がレッズで活躍する姿を見て、すごくうれしかった。いい刺激になった」
3学年上の兄・和樹は、弟の大樹と同じように浦和ジュニアユースで育ち、ユースでも活躍した。しかし、トップチーム入りは果たせず、高校卒業後は明治大のサッカー部へ。今年、4年生となり、一般企業への就職活動をしながら、プロ入りの夢を追い続けている。
「あきらめていない。弟と同じ舞台に立ちたいと思っている」
大槻暫定監督も認めたタフネス。
強い思いは言葉の端々にもにじませたが、ひと足先にJリーグの舞台に立った弟を妬むことはない。「心から応援している。お兄ちゃんの目で見てしまう」と顔をほころばせる。身内だからこそ「謙虚になることが大事だ」と助言し、同じフットボーラーとして厳しい目も向ける。
「守備はすごいと認めるけど、攻撃の部分は僕のほうができると思うこともある。あの場面はワンツーで抜け出せたとかね。僕もまだまだなんだけど……」と屈託なく笑う。右サイドハーフ、攻撃的な右サイドバックとして鳴らしてきたプライドもある。
弟の大樹は浦和ユース時代のポジションは主にセンターバック。大槻毅暫定監督の下、4月11日のヴィッセル神戸戦で右アウトサイドとして先発に抜てきされると、フル出場でリーグ戦デビューを飾った。
4日後の清水エスパルス戦でも同じ位置に入り、鋭いクロスから初アシストをマーク。試合終盤には足がつってピッチに少し座り込んだが、気合を入れ直し、最後まで走り抜いた。
浦和ユース時代から指導する大槻毅暫定監督が試合後の会見で「(橋岡は)足がつっても走れる」と当たり前のように話せば、本人も「僕は(筋肉を)伸ばせばいける」ときっぱりと話した。